Magical FDS Plug Operation Manual
by Yokemura(YMCK) http://ymck.net/

Magical FDS Plugとは

Magical FDS Plug は、いわゆる「ディスクシステム音源」(FDS 音源)の音色を再現するソフトウェア・シンセサイザーです。 Audio Units および VST3 をサポートする Mac / Windows のホストアプリケーションで、プラグインとして利用できます。

FDS 音源は、64 サンプルの波形メモリ(キャリア)を、別の 32 ステップの命令列(モジュレータ)で変調するという独特の仕組みを持ちます。 自由度が非常に高いため設定が難しい音源ですが、本プラグインでは、その自由度を保ちつつ、加算合成やプリセット変形など、ロジカルな方法で波形を組み立てられるインターフェースを提供しています。

特徴

キャリアとモジュレータ

キャリア 実際に聴こえる基本の波形 64 サンプル・64 段階(6 bit)の波形テーブル。加算合成・プリセット変形・パルス・自由描画の 4 通りで作れます
モジュレータ キャリアを変える側の波形 32 ステップの命令列として動作。三角波など 6 種類から選び、レートと深さで「揺らす」か「音色を変える」かを調整します

開発について

Magical FDS Plug はオープンソースですので、欲しい機能や修正があれば、ご自身で改良することが可能です。 もちろん、それをフィードバックしていただければ今後のバージョンに生かさせていただきます。 GitHub レポジトリはこちらです。

また、ドネーションも受け付けておりますので、コーディング以外でサポートしていただける方はぜひこちらをよろしくお願いします。

インストール方法

プラグイン本体を、OS またはホストアプリケーションで指定されたフォルダへとコピーします。 一般的なインストール先は以下の通りです。実際のインストール場所は環境によって異なりますので、お使いの OS や DAW の説明をご参照ください。

特に最近では DAW 含むアプリは多様化していますので、それぞれについてプラグイン使用方法について把握しきれておりませんし、実質不可能です。 ですのでご質問は私ではなく、検索等で調べていただくか、またはお使いのソフトのユーザコミュニティなどにお問い合わせいただければと思います。 基本的なインストール方法の問題については、お問い合わせいただいてもお答えいたしませんのであらかじめご了承ください。

プラットフォーム プラグイン形式 拡張子 一般的なインストールパス
Mac AudioUnits .component /Library/Audio/Plug-ins/Components
VST3 .vst3 /Library/Audio/Plug-ins/VST3
Windows VST3 .vst3 C:\Program Files\Common Files\VST3

使い方

Magical FDS Plug の UI は、Global(全体)・Carrier(キャリア)・Modulator(モジュレータ)の 3 セクションに分かれています。 Global が上部にあり、その下に Carrier と Modulator が横並び(横幅比 3:2)で配置されます。 キャリア波形の編集方法や、モジュレータの Use(LFO/FM/OFF)の選択によって、表示されるコントロールが変わります。 目的のパラメータが見当たらない場合は、これらの選択状態を確認してください。

①Global セクション
全体設定(ゲイン、同時発音数、ベンドレンジ、テーマ、フィルタ、プリセット保存/読込)を行うセクションです。
②Carrier セクション
キャリアの ADSR と波形編集を行うセクションです。Carrier Wave Mode の選択によってコントロールの内容が変わります。
③Modulator セクション
モジュレータ波形、変調レート/深さ、ADSR を設定するセクションです。Use の選択によって Rate / Depth の表示が変わります。

Global セクション

画面上部の Global セクションには、プラグイン全体に関わる設定がまとまっています(上図 ①)。

Gain
プラグイン出力のマスタゲイン(0〜1)。パルス波などは聞こえ方が大きくなりがちなので、他の楽器とのバランス調整に使います。デフォルト 0.5。
Polyphony
同時発音数(1〜32)。デフォルト 1。
Bend
ピッチベンドの振れ幅(半音数、0〜24)。ベンドホイールを最大まで振ったときの変化量です。デフォルト 2(全音)。
Load / Save
プラグインの全パラメータを XML ファイルとして保存・読み込みします。自作音色のバックアップや共有に使えます。
Theme
UI のカラーテーマ。FDS / YMCK / YMCK Dark / Japan / Worldwide / Monotone / Mono Dark から選択できます。
LPF
実機に近い約 2 kHz のローパスフィルタのオン/オフ。デフォルトはオン。カットオフや Q 値の調整はできません。

Carrier セクション

キャリアは、実際に聴こえる 64 サンプル・64 段階(6 bit)の波形です(上図 ②)。

エンベロープ

音量の時間変化を 4 つのパラメータで指定します。

Carrier Attack
鍵盤を押してから音量が最大に達するまでの時間(秒、0〜5)。
Carrier Decay
最大音量に達してから Sustain レベルまで減衰する時間(秒、0〜5)。
Carrier Sustain
Decay 後、鍵盤を離すまで維持される音量(0〜1)。
Carrier Release
鍵盤を離した後、音量が 0 になるまでの時間(秒、0〜5)。

Carrier Wave Mode

波形の作り方を選びます。選択に応じてコントロールパートの内容が切り替わります。

Additive 8 本のドローバーで倍音を混ぜ合わせる
Preset Morph 三角波・のこぎり波・サイン波をベースに変形する
Pulse Shape 矩形波のパルス幅を変更する
Free Draw 64 点を直接描画する

波形表示パート

64 本の縦スライダーで波形を表示します。Free Draw 以外は読み取り専用で、コントロールの変更に応じて更新されます。 Free Draw では各スライダーを直接操作できます(各点 0〜63)。

Additive(加算合成)

電子オルガンのドローバー風に、次の 8 本の倍音スライダーを横並びで配置しています。

8', 4', 2 2/3', 2', 1 3/5', 1 1/3', 1 1/7', 1'

各スライダー(0〜1)の振幅で正弦波を合成し、64 サンプルに量子化した波形を生成します。振幅が 1 を超える場合は自動的に正規化されます。

Preset Morph(プリセット変形)

Preset
Triangle / Sawtooth / Sine からベース波形を選択します。
Morph
中央(0)で無変形。右に動かすと圧縮(小さい振幅を相対的に強調)、左に動かすと伸長(小さい振幅をさらに下げる)。

Pulse Shape(パルス変形)

Pulse width
矩形波の High 部分の幅(1〜63 ステップ、64 サンプル中)。デフォルト 32(50% 付近)。Hi/Lo レベルは 63/0 です。

Free Draw(自由描画)

コントロールパートは表示されません。波形表示パートの 64 本スライダーを直接操作して波形を指定します。

Modulator セクション

モジュレータは、FDS 実機と同様 32 ステップの 3 bit 命令列(opcode列; 後述)として動作し、キャリア波形の読み出し速度(=音色)を変調します(上図 ③)。

波形プレビューと波形選択

32 点の累積波形を表示します(読み取り専用)。Triangle / Saw / Sine / Square / Rise / Fall / Custom から選択します。 Custom 選択時は opcode テキスト欄が表示されます。

Use / Rate / Depth

変調レートの使い方を Use で切り替えます。

LFO ゆっくり揺らす(ビブラート的)。Rate 1〜30、Depth 1〜5
FM 音色を変える(FM 的)。Rate 30〜4095、Depth 0〜63
OFF 変調なし。Rate / Depth は非表示
Rate
変調の周期。実際の Hz とは単純な比例ではありませんが、値を大きくするほど速く、FM 的な効果が強まります。デフォルト 256(FM モード)。
Depth
変調の深さ。モジュレータ ADSR の出力と掛け合わせ、FDS 実機の mod gain(0〜63)相当として使われます。

モジュレータエンベロープ

変調量の時間変化(ADSR)です。キャリア ADSR と同様、秒と相対レベルで指定します。

Mod Attack
鍵盤を押してから変調量が最大に達するまでの時間。
Mod Decay
最大変調量から Sustain レベルまで減衰する時間。
Mod Sustain
Decay 後、鍵盤を離すまで維持される変調量。
Mod Release
鍵盤を離した後、変調量が 0 になるまでの時間。

Custom opcode

モジュレータの波形はキャリアの波形と異なり、各ステップに値の操作命令(opcode)を配置することで指定します。 命令は基本的には値の上げ下げのみなので、急速に値が上下するような波形は作ることができません。 (唯一例外がリセットコマンドで、即座に値を0にリセットします。)

opcode は 0〜7 の数字で、Custom 選択時はこれを 32 桁入力します。空白は無視されます。全角数字は使用できません。 有効な 32 桁が入力確定した時点で、音色に反映されます。

各数字(opcode)の意味(FDS 実機準拠)

数字 動作
0 変化なし(ホールド)
1 カウンタ +1
2 カウンタ +2
3 カウンタ +4
4 カウンタを 0 にリセット
5 カウンタ −4
6 カウンタ −2
7 カウンタ −1

カウンタは −64〜63 の範囲でラップします。32 ステップを 1 周すると、同じ周期で繰り返します。

入力例

三角波プリセット相当の opcode 列:

0505050303030303030303030305050505

デモソングについて

添付のデモソング(demo.mp3)は、 Magical 8bit Plug 2 と、本プラグイン Magical FDS Plug で作られています。 FDS の音色は、添付のプリセットファイルで再現できます。

lead1.xml 冒頭で出てくるリード音色
tublarBell1.xml 次に出てくる鐘の音のような音色。単独で和音のように聞こえます
tublarBell2.xml さらにその後、オブリガード的なフレーズに使われている鐘の音系の音色
celesta.xml 中盤の雰囲気が変わるところで出てくるオルゴールっぽい音色
flute.xml オカリナの音っぽい音色

ライセンス

本プラグインは GPL v3 ライセンスにて配布しています。ソースコードを開示しておりますので、GPL に従い複製、頒布および改変することができます。

ドネーション

開発へのご支援は、ソースコードの共有を通じた直接のご支援のほか、ドネーションを受け付けております。ご協力いただける方はぜひよろしくお願いします。

ドネーションはこちらのページからお申込みいただけます。